コールセンターシステムにおけるクラウド型とオンプレミス型の違いとは
2023/02/03
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コールセンターを運営する上で必須となるのがコールセンターシステム。近年、コールセンターにおいてクラウド型のコールセンターシステムを採用する事例が増えています。クラウド型のコールセンターシステムには、オンプレミス型と比較してどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。この記事では、クラウド型・オンプレミス型のコールセンターシステムを比較し、それぞれの特徴を紹介します。
目次
コールセンターシステムとは
コールセンターシステムとは、コールセンター業務を支援するさまざまな機能が搭載されたシステムのことを指します。コールセンターシステムを導入することで、オペレーターやSVが実施する業務の効率化や応対品質の向上といった効果を得ることができます。一定規模以上のコールセンターを運営する際には、コールセンターシステムの利用はほぼ必須といってもよいでしょう。
以下では、まずコールセンターシステムの概要について整理します。
コールセンターシステムを構成する主な機能
コールセンターシステムは主に以下の機能により構成されます。
CTI
CTI(Computer Telephony Integration)は、電話とコンピューターを接続し、両者を連携するためのシステムです。CTIにより、発着信や転送の操作や、通話に関する情報収集などの機能が提供されます。加えて、CRMをはじめとした他のアプリケーションと電話に関するデータを連携して利用できるようにもなります。
例として、着信があった番号によりCRMと連携して顧客情報を検索し、自動的にオペレーターが確認する画面上に表示するようなことも可能となります。このような機能を提供することで、コールセンターの業務効率化や応対品質の向上が可能となります。
CTIはコールセンターを支える重要な仕組みといえるでしょう。
PBX
PBX(Private Branch eXchange)とは、組織において電話環境を構築するための機器を指します。PBXを導入することで、PBXを経由した組織内の内線通話の実現や、代表番号での外線通話、内線間での通話転送などを実現することができます。複数の電話端末を用いて応対を行うコールセンターにおいて、PBXは必須で必要となる機器です。
従来、PBXを導入する際はアナログ回線に対応したものを利用することが一般的でしたが、近年ではIP回線を利用したIP-PBXや、クラウド型のPBXも登場しています。
CRM
CRM(Customer Relationship Management)は、顧客との関係性を管理するためのシステムのことです。顧客の電話番号や住所、氏名、年齢などの基本的な要素に加え、商品・サービスの購入履歴やコールセンターへの問い合わせ履歴、サポート履歴など顧客との関係性を把握するための様々な情報をシステムに蓄積・管理します。これらの情報を組織間で共有することで、顧客への一貫的な対応や最適なアプローチ検討に活用できます。
コールセンターにおいては、上述したCTIとも連携することで、電話対応の効率化や、手厚い顧客対応を実現することができます。
コールセンターシステムにおけるインバウンド・アウトバウンドの違い
コールセンターシステムには、大きく用途により「インバウンド向け」「アウトバウンド向け」が存在します。両者にはどのような違いがあるのでしょうか。
インバウンドとは
コールセンターにおけるインバウンドとは、顧客からコールセンターへの架電に対応することを意味します。主な対応ケースとしては、商品・サービスの申し込みや修理等のサポート依頼、クレーム対応などが考えられます。
インバウンドに対応したコールセンターシステムにおいては、着信をオペレーターに適切に振り分ける「コールキュー」機能や、自動応答によりオペレーターの負荷を軽減する「IVR機能」などが備わっています。
アウトバウンドとは
コールセンターにおけるアウトバウンドとは、コールセンターから顧客へ架電を行うことを意味します。主な対応ケースとしては、商品・サービスの営業やテレフォンアポイントメント、市場リサーチなどが考えられます。
アウトバウンドに対応したコールセンターシステムにおいては、架電に対して応答があった顧客を自動でオペレーターに接続する「プログレッシブコール」機能や、待機中のオペレーター数や通話終了時間などを考慮して効率的に電話の自動発信を行う「プレディクティブコール」機能などが備わっています。
コールセンターシステムは製品によりインバウンドに強いもの、アウトバウンドに強いものがありますので、導入の際には目的に合わせた選択が必要となります。
クラウド型コールセンターシステムとは
従来、コールセンターシステムはオンプレミスで構築することが一般的でしたが、近年ではクラウド型のコールセンターシステムも登場しています。クラウド型のコールセンターシステムにおいては、上述したCTIやPBX、CRMの機能がクラウド経由で利用できます。これにより、PBX等のハードウェアを購入する必要がなく、また導入にかかる期間も短縮することができるようになりました。
近年では、クラウド型のコールセンターシステムが採用されるケースも増えています。
コールセンターシステムにおけるクラウド型・オンプレミス型の比較
それでは、コールセンターシステムにおいてクラウド型・オンプレミス型にはどのような違いがあるのでしょうか。以下では、各観点で両者の比較を行います。
コスト
コストについては、クラウド型・オンプレミス型で料金体系などが異なるため、どちらが優れているかは一概にいえません。
クラウド型については、主に月額などの単位で発生する利用料がかかるコストの中心となります。多くのコールセンターシステムにおいては、利用する席数や回線数、オプションなどでコストが変わります。
一方で、オンプレミス型においては、多くのコストが初期費用として発生します。サーバーや機器の調達費用や、環境構築費用などが主な初期費用となります。その他、メンテナンス費用や運用作業費用などがランニングコストとして必要となります。
両者はコスト体系が異なるため一概に良し悪しを比較することはできませんが、全体的には利用規模に合わせて柔軟にサービスを利用できるクラウド型の方が安くなる傾向にあります。特に小規模コールセンターの場合、クラウド型の方がコストメリットが出やすいケースが多いといえます。
拡張性・柔軟性
拡張性や柔軟性については、クラウド型にメリットがあります。
クラウド型においては、サービスとしてコールセンターシステムが提供されますので、席数・回線数などを柔軟に変更できます。これにより、マーケティング上の理由などによる一時的なオペレーター増員や、ビジネス拡大による問い合わせ需要の増大などにも対応しやすくなります。
オンプレミス型においては、拡張性は導入したサーバー等のスペックに依存します。導入当初、比較的余裕をもって導入した場合でも、機器のスペック以上に規模を拡大することはできません。もしそれ以上に拡張が必要である場合は、機器の再調達などが必要となります。
通信品質・安定性
通信品質や安定性については、オンプレミス型にメリットがあるといえます。
クラウド型においては、インターネット回線などのネットワークを利用するため、通信環境により品質や安定性が異なります。クラウド型を利用する場合は、安定したネットワークを用意することがポイントといえます。また、ベンダーにより品質が異なる点にも注意が必要でしょう。
オンプレミス型においては、適切なスペックの製品を調達すれば比較的品質の安定性は高いといえます。
安定性ではオンプレミス型にメリットがありますが、回線環境を整えることや適切なベンダー選定を行うことにより、クラウド型でも品質を高めることは十分に可能です。
導入期間
導入期間については、クラウド型にメリットがあります。
クラウド型では設置工事などが不要であるため、スピーディな導入が可能です。製品によってはPC上で通話の受発信が可能となるものもあるため、電話端末なども用意せずに済みます。基本的にはインターネット回線さえ用意すれば導入可能といえるでしょう。
一方で、オンプレミス型においては、機器の調達や設置工事などに時間がかかります。オンプレミス型を利用する場合、利用開始までに一定の期間が必要であることを念頭に置いておく必要があります。
運用負荷
システム管理者にかかる運用負荷の面では、クラウド型にメリットがあります。
クラウド型においては、サービスとしてコールセンターシステムの機能が提供されるため、保守切れ対応やメンテナンスが不要となります。セキュリティパッチあてなども大きな作業負担となりますが、これらもクラウドベンダーが一括して実施してくれます。
一方で、オンプレミス型においては保守切れ時には機器のリプレースが必要となります。また、セキュリティパッチあてなどのメンテナンス対応も都度必要となります。
ここまでの内容を整理すると、下表のとおりです。全体的には、クラウド型にメリットが多いといえます。
|
クラウド型 |
オンプレミス型 |
コスト |
月額などで発生する利用料が中心 |
初期コストが中心 |
拡張性・柔軟性 |
席数や回線数などを柔軟に変更可能 |
導入したハードウェア機器により上限が存在する |
通信品質・安定性 |
通信環境やサービス提供事業者により品質が異なる |
適切な製品を選定すれば品質を確保可能 |
導入期間 |
スピーディな導入が可能 |
機器調達や設置工事に時間がかかる |
運用負荷 |
サービス提供事業者にお願いすることができる |
自社で実施する必要がある |
これからコールセンターを構築する場合はクラウド型を採用すべき
ここまでクラウド型・オンプレミス型のコールセンターシステムを各観点で比較してきました。これらの内容を踏まえると、これからコールセンターシステムを導入する場合は、メリットの多いクラウド型を採用することが基本となるといえます。特に、小規模なコールセンターを構築する際には、小規模利用であっても低コストでコールセンターシステムを利用することができるクラウド型一択といってもよいでしょう。
各社からクラウド型のコールセンターシステムがリリースされていますが、その中でも「Zoom Phone」はおすすめのクラウド型のコールセンターシステムです。Zoom Phoneとは、Webミーティングツールとして知られている「Zoom」と同じプラットフォームを利用した電話システムです。Zoom Phoneはクラウド型の電話サービスとしての利用はもちろん、コールセンターシステムとしても活用できる様々な機能が用意されています。具体的には、Zoom Phoneの導入により以下のようなコールセンター向け機能を利用できます。
・コールキュー:受電をキュー化し、空きのあるオペレーターにアサインする機能。この際、担当者をグルーピングして問い合わせ内容に応じて転送することもできる。
・自動応答(IVR):コンピューターによる自動応答システムで、オペレーターへ通話をつなぐ前に問い合わせ内容を事前確認したり、営業時間外のガイダンスを自動で行ったりすることができる。
・コールモニタリング:SVなどの管理者がオペレーターの対応内容を確認することができる機能。
・ウィスパリング:オペレーターが対応に困っている場合など、SVがオペレーターにのみ聞こえる形で助言を行うことができる機能。
・通話録音:問い合わせ内容を録音し、後から確認することができる機能。自動文字起こしも可能。
・コンタクトセンター統合:主要なクラウド型コンタクトセンター(CCaaS)と連携が可能。
・コールセンター管理機能:コールキューの状況確認やMOS値での通話品質の評価など、コールセンターの管理を行う機能。
Zoom Phoneのメリットとして、様々な機能を利用できる一方で、クラウド型でありながら通話品質などにも優れる点が挙げられます。加えて、コスト面でも比較的低コストという点もメリットといえるでしょう。
まとめ
この記事では、クラウド型・オンプレミス型のコールセンターシステムの比較検討を行いました。クラウド型のコールセンターシステムには様々なメリットがあり、今後コールセンターシステムを導入する場合は、まずクラウド型から検討することをおすすめします。その中でも、Zoom Phoneはおすすめの選択肢の一つといえるでしょう。
Zoom Phoneのコールセンター向け機能については、以下の記事でも詳細に解説しておりますので、併せてご覧ください。
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