Zoom Contact Center+Zoom Virtual Agentを試してみた ①基本編
2024/08/08
顧客のニーズ変化や技術の進化なども背景に、コンタクトセンターにおいてはマルチチャネル・オムニチャネル化が進んでいます。金融系商材や保険など対面が重要視される業界においては、ビデオ通話などの活用も進みつつあります。
一方で、電話、チャット、SNSなど様々なチャネルの問い合わせ窓口をお持ちの企業においては、各チャネルでの対応をどのように効率化して扱うかが課題となっているのではないでしょうか。そこで検討したいのが、様々なチャネルを統合的に扱いつつ、AIチャットボットによる効率化も実現できるZoom Contact CenterとZoom Virtual Agentの組み合わせです。
この記事では、まず「①基本編」として、Zoom Contact CenterとZoom Virtual Agentの概要や導入メリット、活用フローについてご紹介します。「②実践編」では、Zoom Contact CenterとZoom Virtual Agentの実際の画面をご紹介しながら、活用イメージをご紹介しておりますので、ぜひ併せてご覧ください。
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目次
コンタクトセンターにおける課題
従来、電話による対応が中心だった顧客とのやり取りも、チャットやSNSなどの普及や電話以外の非同期コミュニケーションのニーズ増加などを踏まえ、マルチチャネル化・オムニチャネル化が進んでいます。コンタクトセンターにおいては、顧客に合わせたより質の高い問い合わせ対応を行い、顧客満足度を上げていくことが求められています。その中で、当社では以下のような課題をお伺いすることも増えています。
各チャネルの対応方法が分かれてしまい、非効率な業務となっている
コンタクトセンターに複数の問い合わせ窓口がある場合、電話、チャットなど対応する人や対応するプラットフォーム、顧客管理方法がわかれてしまうことが多いのではないでしょうか。このような業務プロセスでは、コンタクトセンターでの対応負荷は高まるばかりです。
また、コンタクトセンターで問い合わせ対応を行うため、社内でのコミュニケーションに利用するプラットフォームと別のCRMを導入したものの、システムが分かれていることにより非効率な業務となっているケースもよく見られます。
限られた人材で対応を行わなければならない
コンタクトセンターにおける有人対応は顧客満足度を高めやすい一方で、オペレーターの負荷も高くなってしまいます。オペレーターの人材不足も深刻となる中、限られた人材をどのように配置すればよいか悩まれている企業も多いのではないでしょうか。
コンタクトセンターにおける人材不足も背景に、24時間365日のチャットボットの対応を開始する企業も増えてきています。チャットボットはセルフサービス化の手段の一つとして有効ではありますが、解決率が高くないと逆に顧客満足度を下げてしまうという面も。顧客満足度を向上させるためには、顧客にとっての努力を最小化できるエフォートレスな仕組みが必要です。
Zoom Contact Centerとは
コンタクトセンターのこのような課題を解決するのが、ミーティングツールとして知られるZoomが提供する「Zoom Contact Center」です。
Zoom Contact Centerはオムニチャネル型のコンタクトセンターソリューションであり、以下のような多様な機能を備えます。
多様なチャネルへの対応
電話、チャット、メール、ソーシャルメディアなど、多様なチャネルへ対応する機能を備えています。ビデオ通話でのコミュニケーションも可能なので、より迅速かつ効率的に問題を解決することも可能です。
Zoom Contact Centerのフローデザイナー機能では、各チャネルからの問い合わせに対してどのようなフローで対応を行うのか、ドラッグ&ドロップで視覚的に設計することもできます。
会話型AIチャットボットの提供
Zoom Contact Centerでは「Zoom Virtual Agent」と呼ばれるAIチャットボットを利用することも可能です。AIチャットボットの導入により、24時間年中無休でリアルタイムに正確な解決方法を顧客に提供することができます。
CRMとの統合
Zoom Contact Centerには、CRMをはじめとした様々なアプリケーションとの連携機能が備わっています。コンタクトセンターにおいてはCRMの活用が必須ともいえますが、Zoom Contact CenterではSalesforceやZendeskといったCRMソリューションとの連携も容易です。また、システム運用管理サービスとして注目度の高いServiceNowとの連携機能も用意されています。
高度な分析機能
チームのアクティビティを効率的にモニタリング・分析するための分析機能も備わっています。ダッシュボード機能では、オペレーターの生産性や顧客サービスのレベルを一目で把握し、オペレーターのスキル向上へのフィードバックや顧客満足度の向上につながる施策の検討につなげられます。また、通話数や平均保留時間、待ち呼数などの各種指標を可視化・分析することも可能です。
Zoom Virtual Agentとは
以下では、Zoom Contact CenterのAIチャットボット機能である「Zoom Virtual Agent」について、より詳しく機能を紹介します。
自然言語処理による顧客との会話理解
AI駆動のバーチャルエージェントであるZoom Virtual Agentでは、Zoom独自の質疑応答AIにより具体的な回答を顧客に提供することができます。その特徴は回答までのスピード感にあり、迅速な回答の提供により顧客にストレスを与えません。
ナレッジベースからの情報検索
Zoom Virtual Agentにおける回答にはコンタクトセンターの保有するナレッジを活用できます。保有するFAQや過去の回答履歴などを学習させることで、自社専用のチャットボットとしてカスタマイズが可能です。
エージェントへのシームレスな引き継ぎ
回答内容に不足がある場合はシームレスにオペレーターとのチャットやコールに移行することができます。これにより、チャットボットが不十分な回答しかできなかった場合でも、顧客に不満を与えてしまう可能性を減らせます。
24時間365日の自動応答
もちろん、AIチャットボットなので人が介在することなく、24時間365日問い合わせに対して自動で応答をすることができます。
Zoom Virtual Agent導入のメリット
Zoom Virtual Agentの導入には、大きく「業務効率化」と「業務改善」という2つの観点でのメリットがあります。具体的には以下のとおりです。
業務効率化
一定の問い合わせをAIチャットボットが対応することで、トータルでの顧客対応時間の短縮が期待できます。特に定期的な問い合わせへの自動対応が実現できるメリットが大きく、エージェントの負担軽減につながります。
業務改善
特に待ち呼数が課題となっているコンタクトセンターにおいては、そもそもの入電数を減らすことで顧客の待ち時間を減らし、満足度を高められる可能性があります。
また、AIチャットボットに一部の顧客対応を任せることで、個別に対応が必要であるコールやチャットに集中することができます。
Zoom Contact CenterとZoom Virtual Agentの活用イメージ
最後に、Zoom Contact CenterとZoom Virtual Agentによる顧客対応の流れをご紹介します。
Zoom Virtual Agentによる初期対応
不明点などがある顧客は、Zoom Virtual Agentより提供されるAIチャットボットにアクセスします。顧客が入力した質問事項に対して、あらかじめ学習させたFAQなどのナレッジも活用しつつ、最も適切だと思われる回答をAIチャットボットが行い、問題を解決します。
チャット・ビデオ通話への移行
もしAIチャットボットで十分な対応ができない場合は、顧客は簡単にセルフサービスでオペレーターへと切り替えることもできます。このとき、オペレーターは顧客とAIチャットボットによるこれまでのチャット履歴を確認することができますので、顧客の要望を確認した状態で会話を始められます。これにより、顧客が受ける「たらい回し感」を減らしつつ、スピーディな問題解決を実現できます。
また、文字ベースのチャットでは顧客の問題解決が難しい場合には、Zoom Contact Centerを通してチャットの履歴を確認しながらビデオ通話で顧客と直接コミュニケーションを行うこともできます。お互いの画面を共有することもできますので、顧客のPC画面を共有してもらい操作方法についてサポートしたり、反対にオペレーターのPC画面を共有して情報共有したりといったことも可能です。このように、手厚い顧客対応ができる点はビデオ通話のメリットといえるでしょう。
社内コミュニケーションとの連動
オペレーターのみでの対応が難しい場合、コンタクトセンター内、もしくは社内の他部署とのコミュニケーションが発生します。社内でZoomを利用している場合、これらのコミュニケーションもZoom内で完結する点が大きなメリットとなります。
社内コミュニケーションと問い合わせのプラットフォームをZoomというワンアプリで利用することで、アプリを行き来することなく効率的な対応が可能となり、またパーソナライズされた顧客対応もしやすくなります。
アフターコールワーク削減
Zoom Contact Centerには、文字起こしやサマリーの自動作成といった顧客対応後の業務を効率化する機能も備わっています。これらの機能を利用すれば、応対履歴の入力作業も簡単となり、オペレーターの業務負荷を権限できます。
このように、Zoom Contact CenterとZoom Virtual Agentの組み合わせにより、AIチャットボットによる効率的な対応から、ビデオ通話による手厚い対応、社内コミュニケーション、アフターコールワークといった一連の流れをシームレスに、かつ効率的に実施することができるのです。
まとめ
この記事では、Zoom Contact CenterとZoom Virtual Agentの基本編として、機能やメリット、利用の流れについてご紹介しました。人手不足が深刻化するコンタクトセンターにおいては、AIチャットボットによる業務効率化が有効です。さらに、有人チャット、ビデオ通話などによるフォローにより顧客満足度の向上を狙うこともできます。
引き続き、Zoom Contact CenterとZoom Virtual Agentを利用した業務のイメージについては、②実践編で解説しております。よろしければ、以下の記事も併せてご覧ください。
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