
Zoom Roomsハードウェア最新動向|Neat・DTEN・Polyの3ベンダー
2025/04/01
近年ではオフィスへの出社回帰が進んでいますが、そのような中でも電話と対面ミーティング双方の良さを生かしたオンラインミーティングや、オフィスとリモートをつなぐハイブリッドミーティングなどは変わらず利用されています。
この中で、最新の働き方に合わせた会議環境を整える企業も増えています。そこで今回は、Zoomのテレビ会議システム「Zoom Rooms」の専用ハードウェアメーカーである、Neat、DTEN、HP|Polyの3社の最新アップデートをご紹介します。
目次
Neat
Neat社は2019年にノルウェーで設立された企業であり、主にテレビ会議端末の販売事業を展開しています。同社製品はスタイリッシュなデザインが特徴ですが、機能面も充実しています。同社が保有する非常に多くの特許技術に裏打ちされた独自の機能が多数用意されています。
今回は、以下の3つのテーマでNeat社の最新製品動向をご紹介します。
・Neat Board Pro
・Neat Pad
・Neat App Hub
Neat Board Pro
Neat Boardは、Zoom Roomsのテレビ会議システムを構築する上で必要となるカメラ・マイク・スピーカー・PC機能・ディスプレイを一つの機器で提供するオールインワンの製品です。今回、Neat社ではNeat Boardの機能をさらに強化した「Neat Board Pro」の販売を開始しました。
Neat Board Proは65インチの大型ディスプレイを備え、10m規模の会議室も1台でカバーできる性能を備えています。また、一般的なTV会議向け製品では1000万画素程度のレンズが利用されているところ、Neat Board Proでは5000万画素の広⾓レンズと望遠レンズのデュアルカメラを採用。これにより、カメラから近くても遠くても、参加者の表情までしっかり相手に届けることができます。
さらに、モニターを簡単に上下に動かすことができる上下可動式のフロアスタンドも利用可能です。
下表は、旧製品であるNeat BoardとNeat Board Proの比較を行ったものです。なお、Neat Boardは2025年2月24日に販売終了がアナウンスされております。
製品 |
Neat Board |
Neat Board Pro |
会議室規模 |
⼩~中規模のスペース 距離約5 メートル |
⼩、中、⼤規模のスペース 到達距離約10 メートル |
カメラ |
1200万画素 120°のカメラ1台 |
5000万画素 70 °/ 113°のカメラ2台 |
マイク |
5マイクアレイ 3センサーマイク ビームフォーミング |
5マイクアレイ 5センサー/トラッキングマイク ビームフォーミング、⾳声追跡 |
スピーカー |
モノラルスピーカーシステム デュアル対向ドライバー |
3チャンネル指向性スピーカーシステム デュアル対向ドライバー デュアルバスレフウーファー |
外部モニター |
– |
外部スクリーンサポート HDMI Out |
画面共有 |
画⾯共有 HDMI |
画⾯共有 HDMIまたはUSB-C |
マーカー |
Passive marker |
Active marker 筆圧検知、消しゴム機能 |
音声拡張 |
– |
将来の使用に備えた補助ポート(RJ45) |
設置方法 |
高さ調節不可 テーブルスタンド、壁掛け、 フロアスタンド |
高さ調整可能 テーブルスタンド、壁掛け Adaptive壁掛け、Adaptiveフロアスタンド |
Neat Pad 拡張マイク機能
Zoom Roomsの操作用タッチパネルであるNeat Padですが、Neat Padに備わるマイクをミーティングで利用できる機能がリリースされました。 会議室にてNeat Boardなどのオールインワン端末を利用している場合、音量調整などの操作を機器にて行う手間をなくすために、Neat Padをコントローラーとして置いているケースも多いのではないでしょうか。このNeat Padを、今後はマイクとしても利用できるようになります。
Neat社の製品は30名規模の大会議室で利用できるもの製品も多いですが、たとえば前方のスピーカーだけでなく後方の参加者の声も拾いたい場合に、後方へNeat Padを設置し、音声環境を改善するオプションマイクとして利用することもできます。
さらに、直径10メートルの範囲で声をクリアに届けたいときは、360度カメラと拡張マイクを備えたNeat CenterとNeat Padの併用もおすすめです。さらに大規模な会議室であれば、Shure Soltutionとのインテグレーションも選択肢となります。
Neat Padのマイクを有効化する方法は以下のリンクで解説しておりますので、よろしければご覧ください。
※参考:「Neat Padのマイクを有効化する」
Neat App Hub
Neat App Hubは、Neat PulseというNeat製品の管理プラットフォーム内で利用できる、アプリ共有プラットフォームです。Neat App Hubでは非常に多くのアプリケーションがリリースされており、これらをNeat製品上で動作させることができます。
利用できるアプリはNeat Pulse上で管理者が許可したものに限られます。許可されたアプリは、Neat製品上で立ち上げることができるようになります。
さらに、Neat Share機能を利用すれば、たとえアプリを立ち上げている最中でも、その機器をオンラインミーティングに参加させることも可能となります。
DTEN
DTEN社は2015年にカルフォルニア州サンノゼで設立された、テレビ会議端末を販売するベンダーです。同社はWindowsやAndroidベースの製品を多数提供しており、ニーズに合わせて好きな製品を選ぶことができます。
また、DTEN社は当初デジタルホワイトボードの製造・販売から事業をスタートさせていることもあり、同社のデジタルホワイトボードは高い性能を誇ります。 今回は、以下の2つのテーマでDTEN社の最新製品動向をご紹介します。
・DTEN Vue Pro
・DTENNeat App Hub
DTEN Vue Proカメラ
DTEN Vue Proカメラは、DTEN D7Xシリーズというオールインワン端末向けに設計された追加カメラです。
DTEN D7Xシリーズの両側に設置することで、最大160度のカメラレバレッジを提供し、会議室内を広く映し出すことができます。機器の後ろ側に人が座っていても、カメラに移すことも可能となります。
DTEN Onboard
DTEN Onboardは、Zoom Roomsで利用できる専用のホワイトボード端末です。
あらゆるZoom Roomsデバイスと同時に利用することができ、DTEN OnboardをZoom Roomsに参加させることで、ホワイトボードを参照しながらミーティングを行うこともできます。
HP|Poly
最後に紹介するのが、HP | Poly社です。ビデオ会議システムの先駆けとして知られる旧PolycomがPolyに社名を変更した後、大手ハードウェアメーカーであるHPに買収され、今に至ります。
同社は1997年に設立され、ビデオ端末やヘッドセット、電話機など幅広い製品を提供しています。
今回は、以下の2つの最新製品をご紹介します。
・Poly G62
・Poly Studio E360
Poly G62
Poly G62は、大会議室向けのソリューションです。イーサネット経由でカメラやコントローラー、マイクを接続することで、各社のニーズに合わせたカスタマイズができます。
IPやUSB、HDMIによる接続がサポートされており、4Kでの映像出力も可能です。
さらに、サードパーティ製のオーディオもサポートされますので、すでに利用している機器との接続も実現できます。
Poly Studio E360
Poly Studio E360は、4つの8MPカメラで360度の映像を実現できる機器です。Poly Studio E360を利用することで、リモートでもお互いが正面から視線を合わせた会話が可能となります。
近年では、360度カメラのようにリモートミーティングにおいて臨場感を高められる機器を導入するケースも増えています。
360度カメラを導入することで、リモートミーティングでありながら、双方ができるだけ一体となってコミュニケーションを行える点がメリットです。
テレビ会議システムの市場動向
これら3社の動向をまとめると、テレビ会議システムは大きく以下の3つの方向を目指していると整理できます。
疎外感のない対面に近い体験の提供
ひとつは「対面に近い体験の提供」という方向性です。当社でも360度カメラであるNeat Centerを利用し始めましたが、Neat Center導入によりハイブリッドミーティングでも疎外感を感じないようになりました。
従来、会議室とオンラインでハイブリッドミーティングを行う際には、会議室中央に設置されたカメラは参加者を正面からとらえられず、各参加者はミーティングツール上で異なる方向を目線が対面側に向いてしまいます。
Neat Centerの導入で、全ての参加者が正面を向いた姿を共有できるようになりました。
会議室側だけで話が盛り上がっていても、参加者の顔の表情をオンラインから参加されたかに伝えやすくなり、全ての方が一体となって会議に参加しやすくなりました。
今回のPoly社のE360含め、ハードウェアはさらに対面に近い体験を提供するソリューションを提供していくでしょう。
AI活用のための収音性能
ミーティングツールで実施した会議の録音を基に、AIによる話者特定や議事録の作成を行うケースも増えています。
たとえば、Zoom Roomsの新機能であるスマートスピーカータグでは、事前に声紋登録をすると、会議室でのミーティングにおける話者を自動で判別できるようになりました。
ここで重要となるのが、十分に品質を確保して録音を行うことです。音声の品質が高ければ、その後のAI活用による成果物の品質も高くなります。しっかり音を取り、不要なノイズを消すことができる性能の良いマイクシステムやテレビ会議システムを用いることがポイントです。
会議端末のみならずコラボレーション用のツールとしての提供
テレビ会議システムの進化により、アプリケーションの利用や高機能ホワイトボードとの連動など、さまざまな機能が利用できるようになりました。これにより、テレビ会議システムは単なる会議用端末としてだけでなく、以下のようにさまざまな用途で活用できるようになりました。
・スケジューリングディスプレイとしての利用
・デジタルサイネージとしての利用 ・簡易受付端末としての利用
・スケジューラやメモアプリなどを利用したコラボレーション
・ホワイトボードを対面&オンラインで活用
テレビ会議システムの導入においては、会議用以外にもこのようなユースケースでの活用を検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回は、Zoom Roomsの専用ハードウェアメーカーである、Neat、DTEN、HP|Polyの3社の最新アップデートについてご紹介しました。
テレビ会議システムは単なる会議ツールとしての枠を超え、AI活用やコラボレーションツールとしての利用など、そのユースケースを拡大させています。本記事でご紹介した最新のハードウェア機器を活用し、ミーティングやコラボレーションの質向上を検討してみてください。