
PBXの機能とZoom Phoneでの実現方法【応用機能編】
2025/04/01
これまでPBXを利用されてきた企業においては、クラウドPBXの移行を検討する際に「○○機能はクラウドPBXで実現できるのか」という懸念を持たれるのではないでしょうか。実は、従来PBXで利用されてきた拡張的な機能や秘書電話、コールセンター機能なども、Zoom Phoneであれば実現することができます。
今回は、PBXでよく用いられる高度な機能の概要と、Zoom Phoneでの実現方法についてご紹介します。Zoom Phoneの導入を悩まれている方は、ぜひこの記事をご覧ください。
なお、以下の記事では基本機能編として、PBXの受発信機能などについてご紹介しています。こちらも併せてご覧ください。
※関連記事:PBXの機能とZoom Phoneでの実現方法【基本機能編】
目次
PBXの拡張機能
まずは、PBXの高度な拡張機能をご紹介します。Zoom Phoneでは、以下でご紹介するようなさまざまなユースケースに対応することができます。
中継台接続
電話交換手が内線と外線の仲介者となり、手動で応答、保留、転送、呼び出しなどを行う専用卓上装置への接続を行う機能です。現在ではあまり利用されることの無い機能ではありますが、Zoom Phoneでもコールキュー機能などを用いることで代替することはできます。
IVR
IVR(Interactive Voice Response)とは、電話を受けた際に自動で応答メッセージを流し、発信者がプッシュボタン操作を通じて目的のサービスや担当者に接続できる機能です。顧客を待たせることなく、迅速に必要な情報やサポートを提供できます。
Zoom PhoneでもIVRの機能が用意されています。1階層のシンプルなIVRだけでなく、複数の入力を受け付け、処理を分岐させていく複数階層の高度なIVRの実現も可能です。IVRの入力内容に基づき転送先を変更したり、コールキュー機能と併用して複数のオペレーターに分散してルーティングしたりすることもできます。
コールシーケンサー
複数の受電があった場合に、メッセージや音楽を流して発信者に待機してもらい、順番に応答する仕組みです。コールセンターなどに電話をかけたときに、「ただいま電話が混み合っております。このままお待ちになるか、時間をおいてからお掛け直しください」といったメッセージを聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。このようなメッセージはコールシーケンサー機能により流されているものです。
Zoom Phoneでも、コールキュー機能を利用することで、このようなメッセージや音楽を流すことが可能です。
構内放送装置接続
内線電話から、工場や店舗、オフィス内などのスピーカーにてメッセージを放送することができる機能であり、館内放送によく利用されるものです。
Zoom Phoneでは、ATA(アナログターミナルアダプター)を利用してアナログ変換を行ったうえで、ページングアダプターと呼ばれる機器と接続を行うことで、同様のメッセージ放送が可能となります。
ドアホン接続
構内放送装置接続と同様に、ドアホンとPBXを接続して、内線電話にてドアホン越しで相手と会話を行うことができる機能です。Zoom Phoneでも同様に、ATAとドアホンアダプターにより実現できます。
FMC携帯内線連携
携帯キャリア提供の携帯内線サービスとの連携を行い、内線接続したり発番号を変換して外線発信したりする機能です。
Zoom Phone でも同様の連携は実現可能です。
秘書電話編
引き続き、秘書の方が利用できるPBXの機能についてご紹介します。
DSS/BLF
DSS/BLF(Direct Service Selection/Busy Lamp Field)は、固定電話のキーにあらかじめよく発信する内線番号を登録しておくことができる機能です。DSS/BLFでは、短縮ダイアルの機能に加えて、登録した内線の状態をランプで表示することができます。これにより、一目で登録した内線の通話状態が分かり、通話取次業務の効率化が図れます。
Zoom PhoneにもこのようなDSS機能およびBLF機能が備わっています。デスクトップアプリ、または対応電話機を利用することで、回線タブ、電話機のボタンに対して任意の電話番号を割り当てつつ、通話状態をランプにて表示することができます。秘書の方や役員電話、または受付など、頻繁に電話応対をされる方におすすめの機能です。
代理発信
役員や上司などの電話発着信応対を秘書役の方が代理で行う機能です。役員や上司などに取り次ぐ場合は、前述したDSS/BLFを利用します。
Zoom Phoneでも、委任機能により同様の処理が可能となります。
コールセンター編
続いて、コールセンターで用いられるPBXの機能をご紹介します。Zoom Phoneでは、コールセンターで利用されるCTIやACD、モニタリングなどの機能も利用することができます。
CTI
CTI(Computer Telephony Integration)はコンピュータと電話システムを統合し、より効率的にコールセンター業務を行うための技術です。CRM(Customer Relationship Management)システムとも連携し、オペレーターの方が顧客の情報を確認することもできます。
コールセンターにおいては、CTIは必須のシステムといえるでしょう。CTIによりオペレーターは顧客情報を瞬時に確認でき、また通話内容を記録し、さらには顧客の過去の問い合わせ履歴などを参照することができます。
Zoom PhoneにもCTI機能が用意されています。Zoom Phoneでは、一般的に用いられているSalesforce、Zendesk、Hubspotなどの各外部CRMシステムと、Zoom社提供の無償プラグインを導入することで連携することができます。これにより、Zoom Phoneの画面上で、顧客の基本的な情報やこれまでの顧客との応対履歴、購買履歴などを確認することが可能です。
ACD
ACD(Automatic Call Distributor)は、顧客からの電話を受信した際に、オペレーターの空き状況などに基づいて、最適なオペレーターに自動的に対応を割り振る仕組みです。これにより、顧客を待たせることなく、適切な対応が可能となります。
Zoom Phoneでは、コールキュー機能により同様の対応が可能となっています。Zoom Phoneのコールキュー機能では、全てのオペレーターに同時に呼び出しを行うほか、呼び出しを均等に分散する方法や、最もアイドル時間が長いオペレーターに割り当てを行う方法などが用意されています。
モニタリング
モニタリング機能は、コールセンターの管理者やスーパーバイザーがリアルタイムでオペレーターの通話を監視し、品質管理やトレーニングを行うことができる仕組みです。特に経験の浅いオペレーターの方をサポートする目的で利用されます。
Zoom Phoneでもモニタリング機能を利用することができます。単に内容を確認するだけでなく、後述するウィスパリングによるオペレーターへの助言や、会話内容への割り込み、通話の引き継ぎなどにも対応しています。
ウィスパリング
ウィスパリング機能は、通話中に管理者やスーパーバイザーがオペレーターへアドバイスや指示を行うことができる機能です。ウィスパリングによる会話内容はオペレーターにのみ聞こえるため、通話相手には分からない形でオペレーターへの助言が可能となります。
オペレーターが通話中に困難な状況に直面した場合や、経験の浅いオペレーターの方へのトレーニングなど、管理者が即座にサポートを提供することができます。
Zoom Phoneでも、ウィスパリングによるサポートを行うことができます。
通話録音
コールセンター業務を行う上で、通話録音機能は必須ともいえるでしょう。顧客との応対内容を録音しておくことで、後から会話内容を確認したり、次回以降の応対の検討を行ったりすることができます。
Zoom Phoneでも、通話内容を録音し、後から確認することができます。各通話を個別に録音するほか、全ての通話内容を自動的に録音することも可能です。さらに、レコーディングした内容は自動で文字起こしおよびAI要約もされますので、録音内容を聞くことなく、素早く通話内容を把握することもできます。
通話の可視化を行うことで、業務効率向上を図れるだけでなく、ハラスメント抑制、ガバナンス向上にも効果が期待できます。しかもZoom Phoneなら、追加コスト不要で容量無制限および無期限保存ができますので、コスト気にせず全通話録音を利用可能です。
また、オプションによる、高度な通話分析機能(Zoom Revenue Accelerator)を利用すれば、商談内容の解析や、スコアマークにより、生産性の向上が図れます。
まとめ
この記事では、PBXにおいて利用できる応用機能と、各機能のZoom Phoneでの実現方法について解説しました。秘書電話やコールセンターでの利用など、Zoom Phoneであれば多くのユースケースをカバーすることができます。しかも、ご紹介したほとんどの機能を有償の標準ライセンスで利用できるため、コスト削減にも効果的です。これまでオンプレミスのPBXやCTIを利用されていた企業においても、安心して利用できる仕組みといえるでしょう。