
営業組織における通話録音データの重要性
2025/04/01
営業活動においてデータ活用をしたいものの「データが集まらない」「データを蓄積するための作業が負担となる」と感じられている方も多いのではないでしょうか。実際に営業データの活用で先行する海外では、営業データの活用にあたって、いかに従業員の負担を削減するかに注目が集まっています。
今回は、営業データを負荷なく、効果的に活用する方法について、詳しくご紹介します。
目次
営業データとは?
具体的な活用方法に入る前に、まずは営業データの種類や収集方法について整理します。
そもそも「営業データ」にはどのような種類があるのか
一般的に営業データといった場合、以下のような種類のデータが想定されます。
項目 |
内容 |
売上 |
顧客もしくは商談から生み出される売上。 |
パイプライン・フェーズ |
商談のステータス。 |
転換理由・失注理由 |
次のステータスへ移行した、もしくは失注した理由。 テキストで定性的に書かれているのではなく、具体的な内容で正しくデータ化できているかがポイント。 |
活動数・転換率 |
営業活動を実施した数、および次のステータスへ移行した数。 インサイドセールスであれば、コール数や次フェーズに進んだ割合など |
商談データ |
面談や架電など、お客さまとの会話内容。 生成AIも活用し、構造化された形でデータ化することも検討。 |
顧客データ・営業パーソンデータ |
役職や顧客のミッション、考え方、保有スキル、商談を行ったときにどのような反応があったかなど。 |
自動化の重要性
これまで、これらのデータは手動で入力し、収集するのが当たり前でした。手動での入力は負荷もかかりますし、入力ミスなど精度面でも課題があります。 一方で、SFAや音声解析AIなどの登場により、現在では自動で入手できる環境が整っています。具体的に、各データは以下のように収集することができます。
項目 |
入手方法 |
売上 |
(SFAで手入力) |
パイプライン・フェーズ |
SFAで活動することで自動収集 |
転換理由・失注理由 |
商談や架電内容より音声解析AIで収集 |
活動数・転換率 |
SFAで活動することで自動収集 |
商談データ |
商談や架電内容より音声解析AIで収集 |
顧客データ・営業パーソンデータ |
商談や架電内容より音声解析AIで収集 |
特に、架電データから収集できる情報量は多いといえます。多くの方が架電データの重要性を認識しつつあり、実際に当社でも営業部門の方より「商談解析をしたい」という問い合わせを頂くケースが増えています。
架電データの自動収集によって、たとえば「XXX業界の方は水曜日の午前中に連絡がつきやすい」といったように、業界や属性ごとに応答率が上がるタイミングも見えるようになります。また、蓄積したデータを生成AIにインプットすれば、商談履歴について迅速にキャッチアップすることもできるようになります。
インサイドセールスやフィールドセールスの活動が営業データの収集源となる
これらの営業データの収集にあたっては、インサイドセールスやフィールドセールスが重要な役割を担います。実際に、上述したデータのほとんどはインサイドセールスやフィールドセールスの活動から取得できるものです。
インサイドセールスやフィールドセールスは、日々、お客さまとの関係を構築しながら、お客さまの考えや悩みなどの一次情報を受け取ります。それを基に、フィールドセールスとインサイドセールスが協力しながら、お客さまにどのような価値を届けるかを考えることがポイントです。
営業データの活用用途
それでは、これらの営業データはどのように活用できるのでしょうか。以下では、4つの視点で活用用途を整理します。
プロセスの構築・改善
イメージしやすいところでは、プロセスの構築や改善にデータを活用する取り組みです。 ハイパフォーマーが取っているアクションを分析し、電話時の具体的な行動などをキーアクションとして割り出すような施策が考えられます。
営業データの活用の基本は、「誰が」「誰に」「何をしたら」「どうなったか」というデータを貯めることでPDCAサイクルを回していくことです。特に、業務全般で「何をしたら」「どうなった」というデータが重要であり、ここで営業データを活用し、プロセスの構築や改善につなげることができます。
営業戦略
営業戦略や経営戦略を検討する上でも営業データを活用できます。たとえばインサイドセールスは日々お客さまと会話する中で、どのような要望があるか、どのような理由で断られたかなどの反応を得ています。
これらをデータとして蓄積し、それを基に戦略を調整することができます。 従来、このような取り組みを行うためにはお客さまに電話をしてヒアリングするなど、時間がかかっていました。しかし、今では日々の活動から蓄積されたデータを見て、すぐに最適な方針を決められるようになっています。
能力開発
営業データにより、各担当者の強みや弱みが明確になり、改善のための活動を進めやすくなります。 たとえば、メンバーのトレーニングの設計にもデータは有効です。強化すべきスキルを特定しつつ、そのスキルに焦点を当てたトレーニングを行うことで、チーム全体のパフォーマンスを向上させます。
さらに、トレーニングの効果を測定し、必要に応じて調整することで継続的なスキル向上を図ることも有効です。
サービス開発
サービス開発、新規事業開発の際にデータからお客さまの声を読み解くことも有効です。営業戦略ともアラインさせつつ、機能開発の優先順位をどこに置くか、どの機能を開発するか、それによってどのターゲット層を獲得していき、どの程度まで売上を伸ばしていくかを想定することができます。
インサイドセールス組織の現状と課題
一方で、インサイドセールス組織においてデータを活用するに当たっては、課題もあります。
よく伺うのが、「何のデータを見ればよいか分からない」という声です。その場合、まずは「お客さまの状態を理解するためには何を知る必要があるのか」を分析することから始めます。これが明確でないために、データの活用方法が定まらないというケースがよくみられます。当社が支援する企業の中でも、目的設定が適切であると取り組みがうまく進んでいる印象があります。
また「せっかく集めた情報がデータとして蓄積されない」という課題も散見されます。営業の現場では情報が存在しているものの、それがデータとして適切に扱われていないというギャップが発生しているケースです。
これは多くの場合、データ入力や可視化への負荷が壁となっています。しかし、上述した通りテクノロジーの進化によってデータの蓄積は大幅に効率化されています。
設計や業務プロセスへの組み込みは必要ではあるものの、テクノロジーによりデータ活用に求められるハードルは大きく下がったといえるでしょう。
データ活用によるセールスイネーブルメント 具体的なユースケース
このような課題も踏まえつつ、セールスイネーブルメントとして営業組織の強化・改善を実現していくためには、どのようにデータを活用していけばよいのでしょうか。 以下では、実際の事例も参考にしつつ、具体的なユースケースをご紹介します。
The Modelの壁を超える部門間連携
まずは、部門間連携についてのユースケースをご紹介します。ある会社では、マーケティング戦略が成功し、多くのリードが取れるようになりました。一方で、インサイドセールスからフィールドセールスへの商談化率が低いという課題がありました。
そこで同社では、Zoom Revenue Acceleratorによる音声データの書き起こし・データ化と、会話分析を実現する録音解析システムを導入。
システムの導入により、インサイドセールスの対応件数が20%向上しました。
また、手動入力ではどうしても人により記載粒度が異なったり、会話への解釈が異なったりしますが、システム化により重要な情報のみが自動で記録されるようになりました。これにより、インサイドセールスからフィールドセールスへ正確なデータを提供できます。
さらに、録音の自動文字起こしとタグ付けにより、マーケティング施策にも活用できるデータ収集も実現しています。
これらの仕組みによって、同社では部門間の情報連携がスムーズに行われ、業務全体の質も向上しました。
経営・戦略に資するデータ活用
次に、経営戦略におけるデータ活用についてご紹介します。ここでも、Zoom Phoneでの録音データ収集や通話録音の解析が非常に重要です。既存顧客や新規顧客の発言を文字化し、キーワードとして登録することで、ビジネス展開に役立ちます。
実際に当社では、海外で話題となっているキーワードなどを事前にタグとして登録しておき、通話録音内容と掛け合わせることで、どの商材であればお客さまのニーズに合うのかを分析しています。
このように、新商材を持ち込む際には既存のお客さまから得られるリアルな声が参考になります。
チームのパフォーマンスを向上させるデータ活用
最後に、チームのパフォーマンス向上の観点からデータ活用のユースケースをご紹介します。
当社のお客さまからよくお聞きするのが「マネージャーが忙しく、メンバーへのフィードバックに充てられる時間がない」という声です。
時間がないと、マネージャーは通話録音をいくつかピックアップして聞き、それに対してフィードバックを行うのが限界となります。
しかし、この方法では個別の対応に対するアドバイスにとどまってしまいます。
効率的なフィードバックを実施するためにも、Zoom Phoneでの通話録音と通話内容の解析の組み合わせが有効です。この仕組みにより、話者比率やトピックごとの発言量が一目で分かるようになります。
たとえば、話者比率データにおいてお客様よりセールス担当者の発言が70%以上を占めている場合、一方的に話しすぎている可能性があります。
また、トピック内で質問がほとんどできておらず、製品の話ばかりしている、逆に質問が多いがCRMに記録されていないといったデータも明確になります。このようなデータから、適切な質問ができていないことを瞬時に把握できます。
もちろん、個別の事例を細かく見ることも重要ですが、週単位などでメンバーのパフォーマンスを確認することにより、マネージャーは改善点を明確に理解できます。
さらに、担当者自身が週ごとの変化を自ら確認できるため、改善の実感を得られやすくなる点もメリットです。
まとめ
この記事では、営業組織におけるデータ活用の重要性というテーマで、営業データの種類から収集方法、具体的なユースケースまでご紹介しました。
記事中でご紹介したとおり、特に通話録音データから得られる情報量は多く、通話録音から文字起こし、データの蓄積・可視化といった流れを自動化することが重要です。これらを実現するためには、クラウドPBX・CTIであるZoom Phoneや通話録音の文字起こしから、会話内容の分析・可視化を実現するZoom Revenue Acceleratorなどのソリューションを組み合わせるとよいでしょう。
これらの各ソリューションについては、以下の記事や資料でも詳しく解説しております。ご興味のある方は、ぜひこちらも併せてご覧ください。
※関連:Zoom Meetingsとamptalkによるセールスイネーブルメントの実現方法